VIX指数とは
VIX指数とはシカゴオプション取引所(CBOE)が算出する指数です。S&P500を対象とするオプション取引からボラティリティ(Volatility)を求めて指数化したものがVIX指数です。
この指数がなぜ別名恐怖指数と呼ばれるかについて解説します。
始めに指数算出のために使用されるオプションについて簡単に説明します。
オプション取引とは
オプション取引とは権利の取引です。権利を取引してその権利を行使したり放棄したりします。そのオプションの理論価格はオプションの原資産価格、満期までの残存日数、権利行使価格、原資産のボラティリティを主な要素としてオプション価格が決定されます。ちなみのこのオプションの理論価格式を発表した人はノーベル賞を取りました。それだけすごいことなのです。
さて、そのオプションですが、原資産からかけ離れているところの権利行使価格のプレミアムは、通常安くなっており、取引もあまりありません。ですが、何らかの理由で取引が活発になり高いプレミアムでも売買がなされる時があります。それが暴落するときなどです。
暴落するとなぜオプションのプレミアムが上がるのか?
暴落が起きる、あるいは起きそうだと思った場合の行動としては、手持ちの株を売ることがまず考えられます。しかし、株主としての権利を保持したいために株を売れない場合もあるでしょう。その場合は、先物を売ってヘッジすることもありますが、期待通り暴落しない場合は、先物で損をしてしまいます(その場合でも現物を持っているので差し引き損失はゼロですが、それは現物株を処分した場合です)。先物を売る代わりにPUTオプションを買うという選択肢もあります。
やり方は色々ですが、例えばこれ以上下落されては困るという場所の権利行使価格のPUTを買えば、権利行使価格より値下がりした場合は、完全にヘッジすることができます。値下がりしない場合は支払ったプレミアムを失いますが、損失はそこで限定されます。
恐怖指数と呼ばれる理由
前置きが長くなりましたが、暴落すると思ったときは多少プレミアムが高くても買おうとする人が増えるので、オプションのプレミアムが上がり、結果としてオプションのプレミアムから算出されるインプライドボラティリティ(IV)が上昇し、そしてそれをもとにしているVIX指数が上昇することになります。
オプションのプレミアムが高値で売買される→IVが上昇→VIX指数が上昇
という図式になります。マーケットのセンチメントが暴落=恐怖側に傾いているとこの傾向が強くなるため、恐怖指数と呼ばれるわけです。
VIX自体はVolatility Indexの略なので、オプションをわかっている人からしたらVIXだけで通じるわけですが、オプションを知らない一般の人には”恐怖指数”といった方がわかりやすいから、この名称が普及しているのだと思います。
VIXを利用した取引機会
さて、VIX指数の特徴は上で述べたとおりなのですが、この性質を使って利益を上げることが可能です。どういうことかといいますと、恐怖で上がったVIX(あるいはオプションのプレミアム)はマーケットが落ち着いてくれば、必ず低下するということです。いつ上がるかはわかりません。それはいつ危機が起きるかがわかるということと同義なので、普通の人には無理でしょう。しかし、暴落が起きて跳ね上がったVIX指数はいずれ下がります。そのため、暴落が起きたらVIX指数をショートするようなポジションを構築すればかなりの確率で利益を上げることが可能です。
ただし、注意しなければならいこともあります。たいてい、暴落してVIXが上がったのち、再度下落することがあります。その場合は、VIXが更に跳ね上がります。VIX指数自体は取引されおらず派生商品として取引されることが多いです。例えば先物とかですが、その場合、ボラティリティが高くなったことによって必要証拠金が多額になっているところにさらに、VIXが続伸すると評価損も増えて、最悪の場合マージンコールで退場ということも起こりえます。そのため、エントリーするタイミングが重要です。もしくは十分な資金的な余裕が必要になると思います。取引を考える場合はこの辺のリスクがあることを十分に理解する必要があります。