米大統領選の仕組みについて解説
はじめに
4年に一度米大統領選が行われます。ちょうどオリンピックの年になります。世界の政治経済に多大な影響力を及ぼす米大統領選は投資の世界とも無縁ではありません。
しかしながら、日本にいるとその仕組みがよくわからないことが多いのでいったん整理してみます。
大統領選挙のプロセス
米国は民主党、共和党による2大政党制の国です。もちろんそれ以外の政党もありますが、事実上この2党以外からの出馬で大統領になるのは現時点では不可能です。そのため、民主、共和どちらかの政党から大統領候補として選ばれた者が大統領となります。
これを踏まえて大まかな流れを書くと次のようになります。
- 党員集会や予備選挙で代議員を選定 (2月から6月くらい)
- 全国党大会で大統領項を指名 (7月から8月くらい)
- 選挙戦 (9月から11月初めまで)
- 一般有権者による大統領選挙人選出投票 (11月の第一月曜の翌日の火曜日)
- 大統領選挙人による投票 (12月の第二水曜日の次の月曜日)
- 連邦上下両院合同会議で開票 (翌年1月)
- 大統領就任 (1月20日)
最初の2つは党内での手続きの話。選挙戦以降がいわゆる一般選挙にあたります。日本と違うのは、有権者が選ぶのは”大統領”ではなく、”大統領を選ぶ選挙人”を選ぶということです。そのため、連邦上下両院合同会議で正式に大統領に選出されるのですが、事実上は選挙人を選ぶ、一般有権者による大統領選挙人選出投票 で決まります。
キーワード
党内手続き
党内の手続きなので各党同じである必要は無く、民主党と共和党では手続きが微妙に違います。民主党、共和党の候補者として誰を指名するかについては、一般党員の代理人となる”代議員”が党全国大会で投票して決めます。その代議員を選ぶのが予備選や党員集会となります。”予備選”や”党員集会”と複数あるのは州によって選挙で決めたり、党員集会による話し合いで決めたりさまざまだからです。
民主党の代議員は得票数に応じて比例配分されますが、共和党は多くの週で”勝者総取り方式”を採用しています。
スーパーチューズデー
党内手続きを経て、全国党大会にて党の大統領候補として指名されまが、候補者選びが集中する週の火曜日をスーパーチューズデーと呼びます。選挙の体制がこの日に判明することが多いです。
本選挙
各党の大統領候補に選出されると、いよいよ本選挙に入ります。各地を遊説して回り、TV演説を行い、公開討論会で相手の悪口を並べ立てて、相対的に自分が優れていることを有権者にアピールします。一般の有権者が大統領選挙人を選ぶ選挙になります。この選挙人をどれだけ獲得できるかが重要です。有権者の得票数と選挙人の割合は一致しないので、有権者の得票数が多くても、選挙人の数が多いとは限りません。例えば2016年の選挙の際には、得票数はでは民主党の方が多かったのですが、選挙人を多く獲得したのは共和党となったため、共和党の大統領が誕生したわけです。
スイングステーツ
各州とも伝統的に強い政党というのがあり、どうやっても選挙結果が変わらない州というのが多くあります。というか大半の州は変わりません。それらはいわば固定票となるので、それ以外の州の優劣が勝敗を左右することになります。
スイングステーツ(swing state)とは選挙の度に結果が変わる州のことで、フロリダ・オハイオ・バージニアなどの州があります。これらの州がどちらに傾くかで大統領選挙の結果が変わります。