不動産投資、とりわけアパート経営しましょう的な広告をよく見かけます。基本的にスルーしていたのですが、一度よく見てみました。
サラリーマンでもできる!
銀行の融資が受けられれば、誰でもできるわけですが、その意味では定職についている人の方がいいのでしょう。それと日本の労働者の大半はサラリーマンで、副収入を求める人が多いことも影響していると思います。
2億円の資産を作りました!
例としてサラリーマンが老後資金のことを考えてアパート経営を始めて2億円の資産を作りましたという話が書いてありました。この文言だけでも胡散臭いのですが、中身を見ていきましょう。数字とかは少しぼかして書いてあります。
1棟目を自己資金100万円で購入。1億2千万円の物件です。部屋は10戸あり家賃は一部屋6万円なので月の家賃収入は60万円。経費等を引いた収益が年40万円です。
2棟目は自己資金600万円で購入。1億の物件です。部屋は8戸あり家賃は一部屋6万円なので月の家賃収入は48万円。経費等を引いた収益が年65万円です。
そして、この2棟で2億の資産です!的な広告でした。
まず、家賃収入は月いくらと書いているのに、収益の方は年表示です。この段階で胡散臭さ全開です。年単位で書くと、家賃収入が(50万円+48万円)×12ヶ月=1176万円に対して、収益は105万円です。700万の自己資金に対して年105万円なら7年で投資資金を回収となります。
バランスシートで考えよう
ですが、問題はここからです。2億の資産に対して、負債も2億あります。ほぼフルローンに近い感じなので、本当なら”2億の資産と2億の負債を作りました!”が正しい表現でしょう。
2億の負債ですよ。サラリーマンで。まあ、2億の資産があるので差し引きほぼゼロのはずですが、資産は評価によって変動しますが、負債は変わりません。さて、10年後どうなるんですかね?土地はともかく建物は劣化するだけなのは確かです。
1部屋でも空室が出たら?
年間の収益が105万円です。家賃は1部屋6万なので、1部屋当たり年72万円の家賃収入です。一部屋空室が出ると年72万円の家賃収入が減ります。当然収益も減ります。2部屋空きが出たら年144万円の収入が減るため、収益としては年で40万円ほどの赤字が発生します。2部屋というのは全18部屋に対して11%に当たります。逆に言えば入居率が89%でも赤字です。入居率が94%(17戸入居)でやっと黒字です。ここまで高い稼働率でも収益は年30万円程度です。
こう考えるとリスクがいっぱいに見えるのは私だけでしょうか?しかも何年かに一回くらいは大規模な修繕が必要になるでしょうし、突発的な修理もいるかもしれません。
まとめると
立地がいい場所で建物にも競争力があって、常に満室稼働が期待できる物件なら検討してもいいのかもしれませんが、今後の日本のことを考えるとちょっと手が出ない感じがします。
まあ、本業の収入が多くて、節税のために少しくらい赤字が出ている方がいいという考えもあるでしょうから、一概には言えませんが、いずれにしても余裕がある方が行うべきなのだと思いました。