FXでの通貨間裁定について考える

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FXを利用した裁定取引について考えてみます。
使用する通貨はドル、ユーロ、円で考えてみます。
話を簡単にするため、1ドル=100円、1ユーロ=120円、1ユーロ=1.2ドルとして説明します。

120円をユーロに交換すると1ユーロになります。
1ユーロをドルに交換すると1.2ドルとなります。
1.2ドルを円に交換すると120円になります。

手数料とかbid offerのスプレッドを考慮しなければ、このように1周して同じ価値になります。
もしこのレートが次のようになっていたらどうでしょうか?

1ドル=101円、1ユーロ=120円、1ユーロ=1.2ドルの場合。
120円をユーロに交換すると1ユーロになります。
1ユーロをドルに交換すると1.2ドルとなります。
1.2ドルを円に交換すると121.2円になります。
つまり、1.2円の利益になります。このように利益が出るのはどこかのレートが歪んでいるからです。
ユーロドルが最も流通量が多いので、これが正しいと仮定すると、ドル円が高いか、ユーロ円が安いかのどちらかが原因です。
我々の目的は利益追求なので、原因究明には興味がありません。
そのため原因究明には目もくれずにひたすらこの取引を繰り返せば利益が積みあがることになります。
保有したポジションが思うとおりに動くことを願って神経をすり減らすことなくただひたすら作業を行えばいいのです。
なんてすばらしいのでしょうか?
しかし現実にはこのような機会は少なくとも個人投資家レベルには存在しません。

1つにはシステム上の問題です。個人投資家が注文を出す場合は、インターバンク市場に直接注文できることは稀で間に何社かブローカーを挟みます。ブローカーはインターバンクのレートに対して自分たちの取り分を載せるので個人投資家に提示するレート(bid/ask)のスプレッドが大きくなります。このスプレッドが大きくなると、上で書いた取引は成立しなくなります。
例えば
ドル円bid = 99円 ドル円ask = 103円
ユーロ円bid = 118円 ユーロ円ask = 122円
ユーロドルbid = 1.18ドル ユーロドルask = 1.22ドル
だとした場合、
122円をユーロに交換すると1ユーロになります。
1ユーロをドルに交換すると1.18ドルになります。
1.18ドルを円に交換すると116.82円になります。

2つ目もシステム上の問題です。
ドル以外の通貨ペア、例えばユーロ円は、実際にはユーロドルと、ドル円の組み合わせて作られています。ドル中心の取引でドルが基軸通貨と言われるゆえんです。故に提示されているユーロ円のレートもドルを経由しているレートなので、円→ドル→ユーロと交換したレートに対して円→ユーロと交換したレートが有利になることはまずありません。

昔はこの手の裁定取引も成立していたらしいのですが、システムが整備され、高速取引も発達してきているため素人が取れるチャンスは無くなっているのが現状だと思います。

ここまで気づくまでにMT4でプログラムを組んで様子を見てみたのですが、やはり取引チャンスはありませんでした。MT4のプログラムを書くまでにかなりのエネルギーをつぎ込んだのですが、先によく考えるべきだったかもしれません。

ただ、仮想通貨の世界ではまだこの取引が成立します。チャレンジしたい気持ちはあるのですが、仮想通貨の場合は突然取引できなくなったりさまざまなリスクがあるため

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